株式会社 Jコスト研究所

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J-Cost Research Center

連載コラム 『Jコスト改革の考え方』目次はこちら

2017年1月より、『Jコスト改革の考え方』というコラムをおよそ月に一度の頻度で更新していきます。

第16回目の公開は8月を予定しています。

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2019年8月

残暑お見舞い申し上げます

令和の御代を迎え100余日が経ちました.今,新入社員の諸君は,入社後の所定の教育訓練を経て職場に配属され,本格的な仕事に取り組み始めた頃と思います.

職場の先輩から様々な職場のルールを教えられ,其れを身につけることで精一杯…という状況と思いますが,今こそ入社式での社長の訓示を思い出してください.出来れば,大学の同期生が就職した先(他社)の入社式での社長訓示をも,ネットで調べてみてください.


もしも御社の社長訓示が,『職場のルールを一刻も早く身につけ,社風に馴染んで即戦力になれ!』のような……,昔の結婚式で花嫁が白い打ち掛けを着て『私は白無垢です嫁ぎ先の家風に存分に染めてください……』と言うように,新入社員の個性・特技を無視したような内容だったら,その会社に未来がない……とお考えください.


一つの例をお話しします.

少し前,ある地方都市で癌検診を受けて間もなく死亡した患者の家族が不審に思い,問い合わせたところ,『要再検査』を間違えて『再検査不要』と転記ミスがあり,その結果手遅れになっていたことが判明しました.

マスコミは転記作業をダブルチェックするルールがあったのに実施してなかったという作業管理上の問題として取り上げて報道していました.


皆さまもこの事件は耳にしていると思いますが,どういう把握をしていますか?


ダブルチェックするというルールを守らせなかったことは役所として大失態ですが,それだけで良いのでしょうか?

もう一つの大きな問題は,本人⇔役所⇔検査機関の情報のやり取りを手書き文書で行うという旧態依然のまま放置してあった事にあると思いますが如何でしょうか?


因みに,先日中国成都にある陳麻婆豆腐の本店で食事したとき,店長が挨拶に来ました.その時,店長は通訳機を片手に私と会話し,『名刺交換』しました.

一方,同行した通訳役の中国人とは互いのスマホ間でQRコードの交換をし,即チャットし,スマホ同士の通信を確認して居ました.

先進国と思い込んでいる日本に比べ,つい数年前まで日本からODAを受けていた中国のEDI (電子情報交換)の普及が如何に進んでいるにか,その現実を目の当たりにしたのでした.


今,『働き方改革』と言う言葉が流行って居ますが,これは日本国中を被っている旧態依然とした業務の仕組みを変えなければいけないという『業務改革』から目をそらし,個人のせいにしてしまう恐ろしい副作用を持っています.


話は飛びますが,農業用語に『客土』という言葉があります.豊かな実りをもたらす土壌を維持するために肥料が毎年投入されますが,人体に於けるビタミンのように,作物が必要とする微量のミネラルは肥料としては与え難く,しかし作物に吸い取られ土壌からは年々減っていってしまいます.そのために山土など,ミネラルを豊富に含んだ別の場所の土を投入することを意味しています.


お話しを元に戻して,日本を代表するような企業の社長は,新入社員に向けての訓示では,先に述べた『客土』の如く,『和して同ぜず』,組織風土にミネラルを補充するが如く,新鮮な感覚で会社の業務を見つめ,問題点を発見し,失敗をおそれず改革に向けてドンドン挑戦して欲しい・・・・旨の内容になっています.


言い換えますと,先に述べた癌検診でのミスのように,『手入力による情報のやり取り』例えば『Fax』などがあれば,『何故EDI化が出来て居ないのか』を問題として取り上げ,その問題解決を自ら買って出て関係部署を説得し,改革を推進する・・・・.そんな姿を御社のTop は期待しているのです.


そのTopの期待に応えるにはどうしたらよいか…というと,新入社員は徹底して周囲に人に,今現在の仕事に進め方について『何故?なぜ?ナゼ?Why?…』と,納得できるまで徹底的に質問してください.2年間からは出来ない,1年目だけの特権だからです.


『何故?なぜ?ナゼ?Why?…』の質問で納得できれば,会社の仕事の仕組みが分かり,バリバリ効率よく仕事が出来る基礎知識が身についたことになります.


『何故?なぜ?ナゼ?Why?…』の質問で納得できなければ,其れを解決するのが『あなたの仕事』になります.自ら上司に具申して,その問題を解決する仕事に取り組んでください.


上司が得意とする分野の仕事を担当することは,部下にとっては『地獄』です.上司の『きめ細かなFollow』がついて回り,上司に褒められるには大変な苦労があります.


自ら具申して取り組んだ仕事の中身は,上司は不得手ですから地獄のFollowはありません.自ら計画し,自ら推進するわけですから,達成感が強く,仕事が楽しくなります.


何より,その範囲では,社内ではトップのスキルを身につけた,プロになれる道です.


トヨタに於ける私の経験では,何か新しいことを始めようとすると,必ず『2-6-2の法則』にぶつかります.つまり関係者の意見が概ね『積極派20%,消極派20%,浮動票60%』と言う構成になるのです.その積極派20%があなたの挑戦を助けてくれます.


そのようにして改革的な仕事を進めると,会社中の20%の積極派(将来幹部に昇格する可能性大)との人脈が出来ます.

会社組織の中での昇進・昇格は,実力だけで決まることではないので努力すれば Top までいけるとは保証しませんが,改革活動を進めて成果を上げてきたという実績は,会社を去った後でも世間から重要視され,その専門性を活かした有意義な仕事に就き,やり甲斐と高収入が生涯ついて回ります.


会社の Top の期待に応えるためにも,会社を成長させ社員を守る為にも,そして何より自分自身がその専門性を身につけ有意義な人生を全うするためにも.新入社員の諸君は『何故?なぜ?ナゼ?Why?…』の質問をぶっつけて,会社の抱える問題点をあぶり出し,顕在化させるところから始めてください.

諸君の御健闘を祈ります.


2019年8月 吉日
(株)Jコスト研究所 代表 田中正知