連載コラム『Jコスト改革の考え方』目次
JBpress連載コラム『本流トヨタ方式』
ビジネス情報サイトJBpressにおいて、2008年から2013年までの間に合計104回のコラム 『本流トヨタ方式』 を連載していました。
現在連載中のコラム 『Jコスト改革の考え方』と併せて読んで頂くと、より深くJコストの考え方がご理解頂けるかと思います。是非、下記のリンクにアクセスしてみて下さい。
過去の所信表明
2017年1月
年頭に当たり当社の本年度の取り組みに付いて御説明致します。
昨年後半からは,米国,英国,比国等々で『国家や地域の壁』を温存させて,雇用を守ろうという大きなうねりがわき起こって来ました。
これをモノづくりの世界に置き換えると,物価の安い途上国に大規模な工場を建設し,そこから全世界に向けて販売してそのコスト差で儲けるという構造から『各地域に,販売量に似合った規模の工場を建設し,その地域の人を雇用し,その地域のSupplierを活用し,得た利益は地域に還元する・・・』という 『共存共栄』型の・・・言ってみれば 『トヨタ自動車設立時のConcept』と同じ, 『地産地消型』でなければ,地元から歓迎されないし,売れない・・・こんな時代が到来したと見るべきと思います。
正に,1978年大野耐一氏の著書の副題 〜脱・規模の経営を目指して〜の時代が来たと言うべきで,弊社から見れば 『本流トヨタ方式』と 『Jコスト論』の活躍の場の到来に他なりません。
本年はこんな思いで,継続案件につきましては意を新たにして取り組んで参ります。新規のご要望があれば改革のお手伝いに参じたいと思いますが,余力は限りがあり,全ての皆様のご要望にはお応えできませんますので,本年はこのHPに
『Jコスト改革の考え方』
というコラムを設け月1回の割合で,当社の改革のノウハウの一端を御説明致します。
その中では,良い例も悪い例も主として中国企業の実例を引用してお話ししますが,何よりの目玉は,
日本企業の中で現在進行中の『Jコスト改革』の実例として伊牟田社長,鈴木工場長を中心として全社一丸となって今日も進めているナブテスコ社鉄道カンパニーの活動事例を同社の協力を得て紹介できることにあります。
是非,お読み頂くと共に,友人にもご紹介下さい。
註:伊牟田・鈴木の両氏には弊社より『Jコスト改善士』の称号を贈呈しています。
<業務内容ページの
8.『Jコスト改善士』の資格審査・登録・管理業務欄の「Jコスト改善士」の称号贈呈をご参照下さい。>
2016年4月
多品種少量生産は大先輩の中国料理に学ぼう
中国ではその気候風土から1日3食とも調理したての温かいもの食べます。又,『医食同源』と言われますが,食材にはそれぞれ薬効があり,バランス良く組み合わせて食事にすることが長寿の秘訣であり,もてなしと信じています。それ故,商談の後の宴席では,主人は客人の健康のために自ら料理を薬効一品一品吟味しながら注文し,料理か来ればその薬効を説明し薦めます。
写真の料理もそうでした。そのような場で出される料理は味も見た目も,そのタイミングも大切になります。
一般に巷間の中国料理店では Order-to-Delivery-Lead-Timeの短さを競っています。中には砂時計で計り,間に合わなかったら一皿余分にサービスする店もあります。これぞ数千年間続いた中国料理店間の『多品種少量生産』競争の成果で,その仕組みは次の3種類に集約でき,他産業でも参考にすべきことと思います。
【A】『飲茶方式』
餃子や焼売,饅頭などの点心は時間を要し客が待てないので,出来上がりを店頭に置き,客はそれを自分の皿に移して食する方式で商われています。言わば在庫販売に相当する方式です。それ故 Order-to-Delivery-Lead-Time最短です。客が好きな点心を取っていけば,その空蒸籠が信号になって,直ちに食べた分が後補充されるのです。
一般工業製品を扱っている人が見落としがちなのは,料理の特異性です。何時でも食べられるように保温していると味が落ちて売り物にならなくなります。飲茶はそのリスクを負いながら在庫後補充生産しているのです。
【B】『一般受注料理』
店に来てメニューを見ての注文し,注文通りに出来た料理を味わう場合を言います。受注生産となりますが,驚くほど短い Order-to-Delivery-Lead-Timeで料理が揃います。ある会合で店主にその秘密を聞くと,その答は以下のようなモノでした。
- 料理が素速く出来るように,キチンと下準備してあること
- 注文を受けた順番に一皿ずつ仕上げること
- 減ってきた下準備材料は常に後補充すること
これはトヨタ生産方式と全く同じで,店主達と意気投合した経験があります。
【C】熊の掌料理のような『特別注文料理』
月に1回あるか無いかの特別注文の料理は,材料を仕入れて置くわけには行かないので,御客から事前に予約注文を頂き,材料仕入れてから料理する方式です。従って Order-to-Delivery-Lead-Timeの中に仕入れのLead-Timeが入っているので大変長く,中には数ヶ月かかる場合もあり得るのです。
上記の【A】【B】【C】の3方式が数千年に渡る中国料理店の厳しい『多品種少量生産』競争を経て確立された生産方式なのです。これを基にして自社のものづくり能力の診断をすることが出来ます。
現状は日本の殆どの会社が『熊の掌料理』タイプ
日本では1990年頃から各社競って生産管理のコンピューター化を進めはじめ,今日まで四半世紀経ち,今ではBOM(部品表)でしか調達が出来ない体質になってしまい,具体的な生産品目と数量が決まらないと何一つ調達できないのが普通です。
その生産計画も,依然として月に一度の役員出席の『生産会議』の承認を必要としているため,注文すれば10分ぐらいで出来る中国料理とは程遠く,量産品でも顧客から注文を受けてから必要部品の手配に入るのが普通で,お届けするまでに数ヶ月かかる事になっている企業が多いのです。御社はどうでしょうか?
中国の主流は週次計画日次生産『一般中国料理』タイプ
弊社がお手伝いしている中国の会社は,N−4月から需要予測をはじめN-1月から週次予測で生産枠を構え,日々の受注で生産を行う形を完成させようとしています。
最新の生産機器を備え,生産管理は米国製のシステムを導入していますが,システムと作業指示,標準作業等への繋がり等の現場管理を弊社がお手伝いしているのです。
実際の運用の中では,受注が大きく変動します。谷の時には『飲茶タイプ』も取り入れ稼働を確保し,山の時はその在庫を転用して繋ぐなど正に実践的『一般中国料理』タイプで,それを更に磨きを掛けようとしているのでした。
東芝,SHARPが相次いで中国の軍門に降るのは何故か・・
日本を支えてきた大手電機メーカーが,相次いで中国の軍門に降って話題となって居ます。そうなってしまった要因は諸説ありますが,硬直化した月次生産体制がその大きな要因で在ると考えて居ります。
一方,社内改革で週次化を成し遂げていたというPanasonic社は,一時期赤字を出しましたが見事復活しています。
如何にHit商品を持っていたとしてもいずれ売れなくなります。市場の振れに即応した生産が出来る仕組みを持った会社,即 Order-to-Delivery-Lead-Timeの短さが今求められていると考えて居ります。
その点,御社は如何でしょうか。中国料理を味わいながらお考え下さい。
2016年1月
下の写真は昨年中国杭州市『岳飛廟』中庭で見た風景です。そこには中国固有の三本足の鼎(かなえ)と四本足の鹿のブロンズ像が飾ってありました。
本来はどういう意味で鼎と鹿を飾ってあるのか,説明は聞けませんでしたが,今回は此の写真を基に,動物は何故『四本足』なのか?
について考えてみたいと思います。
『三本足』は,カメラの三脚でお馴染みのようにしっかりと安定します。力学の世界では,一本足,二本足は手を放すと倒れるので『不安定』と言い三本足は倒れないので『安定』と言います。四本足になると,ギッタンバッコを始めますので『不静定(Redundancy)冗長』と言います。
では,鹿をはじめ動物は何故『四本足』なのでしょうか?
それは, 『動くため』です。
動物は,鼎のように安定した三本足で立った上で,浮いた四本目の足で一歩前に踏出し,重心を移して次の三本足状態にし,浮かせた足を前に出す・・・・この繰り返しで進みます。つまり, 四本目の足は前進するための足なのです。
因みにトヨタ生産方式では,自部署を自ら変えていく為に 四本目の足に相当する組織を必ず持ちます。
通常の組織
上図を基に説明しましょう。
製造部がA・B・Cの3課から構成されているとします。仕事には必ず,忙しくなったり,暇になったりします。構成人員も,休暇を取ったり,時には病気になったりしますから,充分余力を持たせた人員構成になっているのが普通です。
このような組織では,ABC各課長は自分の成績を上げるのに懸命になり,足の引っ張り合いになりこそすれ,部全体をよくすることは毛頭考えません。
部長には手子がいませんから,部を変える手立てがありません。今筆者が改善のお手伝いをしている中国の会社は正にこの状態で,変えようとしても手が付けられない状態です。
皆様の会社はどうでしょうか?
トヨタの組織
トヨタ生産方式では必ず改革するための『四本目の足』の相当する,ラインから外れたスタッフ組織を作ります。
『トヨタの組織』の図をご覧下さい。
部長は,ABC各課がやっと回る程度の要員を残し,各課の出来る人間から前述の四本目の足に相当する『技術員室』又は『改善室』に移籍させるのです。
そうするとどうなるでしょうか?
- ABC各課の構成員は,仕事の出来る先輩達がいなくなるので,仕事はきつくなりますが,相対的には出世したことになります。頑張れば更に成長できる機会を与えられたことになりますから,組織は活性化し,個人は成長します。困ったときには同じ部内にいるので聞けば良いのです。
- 例えばA課長自身も,職を部下に代行させ一時的に技術員室に籍を置き,B課の勉強をし,やがてB課長になり,その延長でC課長もやり部長職を勤める人材に成長していきます。このように課長間のローテーションも容易になります。
- 部長は,技術員室の人材を使って,課の間にまたがる課題の解決を皮切りに部全体の効率と,新時代に向けての自己改革が可能になるのです。
- この活動を進める間に部長業務を代行できる課長を育て,部長は工場長の業務を手伝い,更に成長していくのです。
- 課の中にも課長の裁量で,四本目の足である改善班を設置できます。筆者が組立課長時代,総工数の3%程を課の改善班として確保し,優秀な班長クラスの人材を集め『課長特命業務』として現場の改善指導,品質問題の解決等に活躍してもらいました。課としての成果はもちろん,活動した人達は大きく成長し,3名は課長職まで昇格しました。
四本目の足としてスタッフ部門を設けるということは,トヨタ生産方式の基本概念です。これを現場に展開したときは 『寄せる・停める』活動と言います。
例えば5人で平均85%の作業量だと分かれば,4人に3%のストレッチ目標を課した103%の仕事を割り付け,残りの一人が20%に満たない仕事をこなしながら,4人のReliefをすると言う形を取ります。
そして5人が不平等にならないように,定期的なローテーションの掛けるのですが,103%と20%に満たない仕事の交換は比較的容易ですから,こうする事で5人全てが全部の作業をおぼえるだけでなく,常に速さへの挑戦が出来,強固な作業集団が出来るのです。
『常在戦場』という国会議員が好んで使っている言葉がありますが,民間企業でも,怠惰に落ちやすい日常をムリヤリ四本目の足を作る事で,わざと戦場のような状態にし,従業員を鍛え育てることが,管理者の重要な仕事なのです。
先回ダーヴィンの 『唯一生き残れるのは,変化できるものである』と言う言葉を紹介しましたが,その文脈で,変化するための一つの基本方策として『四本目の足』のお話しをしました。
皆様の改革の参考になれば幸いです。
2015年9月
最近,下記のような名言に巡り会い,膝を打って合点しました。
最も強い者が生き残るのではなく、
最も賢い者が生き延びるでもない。
唯一生き残るのは、変化できる者である。
チャールズ・ダーウィン
それは,以下のような経験があるからです。
弊社設立の目的は,広く社会に 『本流トヨタ方式』と 『Jコスト論』を広め,皆様の会社が従業員とともに 変化に対応し強くたくましく成長するお手伝いをすることにあるので, Client 様の実情に応じた報酬を頂き,中小零細企業から大企業まで改革のお手伝いをさせて頂いております。
発足当時,複数の超一流企業の熱心な社内改革のお手伝いをさせて頂き,好処遇を受け,弊社の実力が評価されたと実感し誇りを持って仕事を進めていました。こういう真摯に改革を進める会社を【タイプA】としましょう。
同じ時期,同程度の超一流企業から幹部教育の依頼がありました。自社の経営基盤は盤石で何ら改革の必要性はないと考えてか教育担当役員の関心事は, 費用削減のみで,教育内容より先に非常勤講師並みの価格でやれと言う高飛車の態度でした。こういう会社を【タイプB】としましょう。
以来様々な会社とお付き合いし,【タイプA】と【タイプB】を分けるものは何かと疑問に思いながら,数多くの会社の皆様とお話ししている内に,両者を分けるのは,経営Topを取り巻く中間管理者層の意識の違いにあると知りました。
弊社は,大野耐一氏の
『今のやり方は一番拙いと思え,もっとましなやり方があると信じて改革に取り組め』と言う教えを継承していますが,【タイプA】はこれと同じ文脈で,常に他社と比較して自社の実態を客観的に捉えている人が多いのに対し,特に
自己資金比率の高い会社は,客観的で厳しい目を持つ外部金融機関の干渉が少ないため,自社の経営基盤が盤石であると盲信しやすく,他社との比較よりは自社内の人間関係に意を払う中間管理者が多くなって【タイプB】の会社になりやすいと気がつきました。
一番顕著な症状は
『在庫が増えても原価を下げようとする』性癖で,弊社はこれを
『高自己資本症候群』と名付けて注目しております。
皆様も ,『最も強い者』を『自己資本比率が高い会社』と読み, 『最も賢い者』を『ヒット商品を持っている会社』と読み替えてみましょう。自社を盤石と思った瞬間から, 冒険を避け現体制を維持し,出費さえ抑えれば会社は安泰という考えになってしまいがちで,この空気が改革マインドを衰退させ,いわゆるガラパコス化を進めてしまい,気がついた時には手の打ちようがない事態になって居ると考えるべきでしょう。
ダーヴィンの進化論は,正に企業の進化論でもあることを知りました。
因みに中国では,経済成長とともに 心ある経営者は,欧米系を真似した, 『労働者を道具扱いにする経営』に疑問を感じ,熱心に 『盛和塾』や 『トヨタ生産方式』いわゆる日本的経営を学ぼうとしています。
今回の中国出張では,講演会の後,参加の中小企業の経営者に呼ばれた夕食では,夜の10時まで教えを請われ,翌朝もホテルから空港までの道中はもちろん,搭乗時間ギリギリまで懇談を続けました。そこまでして彼等が知りたがっているのは,
(1)社長としての
『帝王学』,
(2)上司としての
『部下の育て方』等々で,
決してお金の儲け方ではありませんでした。
日本では講演の後の質問は 『工数低減法』や 『原価低減法』に集中するのと対照的で,ダーウィンの 『最も強い者』と 『最も賢い者』が現在の日本企業であり 『変化できる者』が中国のこれらの会社を指すのでは・・・,と危惧の念に駆られています。
ダーウィンの名言を胸に自社の実態をじっくり観察することをお勧め致します。
2015年1月
お正月に因んでミカンとリンゴの箱買いのお話しを致します。
昔の物流容器は,わらで作った叺(かます)と俵(たわら),木製のミカン箱,リンゴ箱, 防湿加工した茶箱がその主流で,箱単独で市販され,広く使われたものでした。
ミカン箱に入ったミカンはぎゅうぎゅうに詰められ,大きなミカンは四角形に変形していました。リンゴ箱を開けると中は籾殻が一杯詰まっていて,探ると籾殻(もみがら)の中にリンゴがそっと入っていました。今はどちらも段ボールに変わっていますがその歴史を引きずっているようです。
ミカンを『箱買い』するとき,大きさの等級と目方で指定して注文します。
同じ『箱買い』でも,リンゴは触ると傷物になるので,大きさと何個入りかで注文し,箱の中は絶対に干渉しないように,昔の籾殻に代わってスペーサーが入っています。(写真参考)
ミカン箱は,運賃や荷扱いを考え小さめに出来ていて,5kg詰めであれば5,000g−Zero+のミカン1個分の精度で詰め込んでいるようです。生産管理で言えば,1日の稼働時間460分に対して与える生産計画を460分−0分+30分の精度で指示出来るようになって居ると例えることが出来ます。
リンゴの箱詰めは,選別された大きさのリンゴを,写真で言えば13個詰めるだけです。 何g詰めたか,空間はどれだけ余っているかは一切考えません。生産管理で見れば, 過去に1日で13個造った実績があるので,今日も13個生産するように現場に指示するだけで,この大きさなら15個はいけるとは一切考えない事を意味し,ミカンのように 1日の稼働時間460分に対して正味何分の作業を指示したかの把握の無い状態であるとしてお話しを進めます。
こうして見たとき,『ミカンタイプ』の生産管理では1日の稼働時間460分に対し正味何分の作業を与えたか 『時間という計量値』で管理していますから,『改善』で作業時間を短縮すればその分だけその分だけ余分に造ることが出来,成果を摘み取ることが出来ます。
一方『リンゴタイプ』の生産管理では,例えば1日に 13個という計数値(数える数値)で指示していますから,改善で作業時間が短縮しても(リンゴが小さくなっても)13個という指示のまま造るだけで,成果を摘み取ることは出来ないのです。
ここで御提案ですが,2015年のはじめの仕事として,御社の生産管理は,『ミカンタイプ (時間という計量値で指示し,結果を管理している)』なのか,『リンゴタイプ (1日に何個という計数値指示し,管理している)』なのか,お確かめください。もし不幸にして『リンゴタイプ』であれば,何はさておき,『ミカンタイプ』に変更することをお薦めします。
確認のついでに,御社の下記のような全工程に亘っての流れもご確認ください。
@材料受入⇒A材料出庫し⇒B加工⇒C組立⇒D出庫準備⇒E納品
例え『ミカンタイプの管理』であっても,
全体最適≡@〜Eの最適値の和・・・・・・(1)
と信じて@〜Eの各部門の原価の競争をさせると,1日の生産量の競い合いを始め, 生産量の差が在庫となって@〜Eの部門間に積み上がってしまいます。その結果在庫金額が増え,全体のLead-Timeが長くなって会社を危うくします。つまり,単純に競争させる場合には
全体最適≠@〜Eの最適値の和・・・・・・(2)
なのです。
関係式(1)が間違いで,関係式(2) が正しいと部下を説得する自信の無い方には, 昨年末に出版された
を読むことをお薦めします。簡潔明瞭に事例を挙げて説明してあります。
註;原作者Goldratt博士はトヨタ生産方式の大野耐一氏を師と仰ぎ,自らを その後継者と称し,物理学者として『トヨタ生産方式』を研究し,現場育ちの我々とは 違った角度で『トヨタ生産方式』の本質を語っています。
在庫を増やさずに各部門を競争させるには,1日の生産量を指定して それを作るのに要する時間を@〜Eの部門間で競わせる必要があります。
@材料受入⇒A材料出庫し⇒B加工⇒C組立⇒D出庫準備⇒E納品
そうすると,どの部門が製造のネックになっているのかが日々見えてきます。同じ手法で,その部門のどの工程がネックになって居るかが分かります。
このネック工程の能力が会社全体の生産能力を決めてしまいますし,生産のLead-Timeに大きな影響を与えています。
巷間では『5S活動』や『ムダ取り』が流行っていますが,それは現場で働く人たちが自己実現のためには必須の改善活動です。
一方,会社組織をあげて成すべき現場改革は,全工程を見渡した上で
【A】 生産量のネック解消の視点から評価すれば
会社全体の余剰能力が向上し,増販出来れば固定費負担無しで増産でき 利益拡大が出来ます。
【B】 Lead-Timeのネック解消で評価すれば
受注⇔納品のLead-Time短縮は市場競争力を上げ値引き競争から逃れたり,
仕入⇔納品のLead-Time短縮は棚卸資産減少させ,その分のキャッシュが増え 新規事業に投資できます。
この『全体最適』の視点から自社のネックを顕在化し,解消させる改革が 閉塞感漂う今の日本で会社を成長させる道なのです。
お正月のミカンに関連づけて今成すべき改革のお話しをさせていただきましたが,この改革には弊社の提案する 『本流トヨタ方式』とそれを評価する 『Jコスト論』 が大変の役に立ちます。
弊社のホームページでも御説明していますが,上記キーワードをネットで検索いただくと より客観的にその中身を知ることが出来ます。
2015年,御社が 『全体最適』に向けた改革を断行し,アベノミクスの波に乗り 大いなるご発展を祈ってやみません。