連載コラム『Jコスト改革の考え方』目次
JBpress連載コラム『本流トヨタ方式』
ビジネス情報サイトJBpressにおいて、2008年から2013年までの間に合計104回のコラム 『本流トヨタ方式』 を連載していました。
現在連載中のコラム 『Jコスト改革の考え方』と併せて読んで頂くと、より深くJコストの考え方がご理解頂けるかと思います。是非、下記のリンクにアクセスしてみて下さい。
過去の所信表明
2016年1月
下の写真は昨年中国杭州市『岳飛廟』中庭で見た風景です。そこには中国固有の三本足の鼎(かなえ)と四本足の鹿のブロンズ像が飾ってありました。
本来はどういう意味で鼎と鹿を飾ってあるのか,説明は聞けませんでしたが,今回は此の写真を基に,動物は何故『四本足』なのか?
について考えてみたいと思います。

『三本足』は,カメラの三脚でお馴染みのようにしっかりと安定します。力学の世界では,一本足,二本足は手を放すと倒れるので『不安定』と言い三本足は倒れないので『安定』と言います。四本足になると,ギッタンバッコを始めますので『不静定(Redundancy)冗長』と言います。
では,鹿をはじめ動物は何故『四本足』なのでしょうか?
それは, 『動くため』です。
動物は,鼎のように安定した三本足で立った上で,浮いた四本目の足で一歩前に踏出し,重心を移して次の三本足状態にし,浮かせた足を前に出す・・・・この繰り返しで進みます。つまり, 四本目の足は前進するための足なのです。
因みにトヨタ生産方式では,自部署を自ら変えていく為に 四本目の足に相当する組織を必ず持ちます。
通常の組織

上図を基に説明しましょう。
製造部がA・B・Cの3課から構成されているとします。仕事には必ず,忙しくなったり,暇になったりします。構成人員も,休暇を取ったり,時には病気になったりしますから,充分余力を持たせた人員構成になっているのが普通です。
このような組織では,ABC各課長は自分の成績を上げるのに懸命になり,足の引っ張り合いになりこそすれ,部全体をよくすることは毛頭考えません。
部長には手子がいませんから,部を変える手立てがありません。今筆者が改善のお手伝いをしている中国の会社は正にこの状態で,変えようとしても手が付けられない状態です。
皆様の会社はどうでしょうか?
トヨタの組織

トヨタ生産方式では必ず改革するための『四本目の足』の相当する,ラインから外れたスタッフ組織を作ります。
『トヨタの組織』の図をご覧下さい。
部長は,ABC各課がやっと回る程度の要員を残し,各課の出来る人間から前述の四本目の足に相当する『技術員室』又は『改善室』に移籍させるのです。
そうするとどうなるでしょうか?
- ABC各課の構成員は,仕事の出来る先輩達がいなくなるので,仕事はきつくなりますが,相対的には出世したことになります。頑張れば更に成長できる機会を与えられたことになりますから,組織は活性化し,個人は成長します。困ったときには同じ部内にいるので聞けば良いのです。
- 例えばA課長自身も,職を部下に代行させ一時的に技術員室に籍を置き,B課の勉強をし,やがてB課長になり,その延長でC課長もやり部長職を勤める人材に成長していきます。このように課長間のローテーションも容易になります。
- 部長は,技術員室の人材を使って,課の間にまたがる課題の解決を皮切りに部全体の効率と,新時代に向けての自己改革が可能になるのです。
- この活動を進める間に部長業務を代行できる課長を育て,部長は工場長の業務を手伝い,更に成長していくのです。
- 課の中にも課長の裁量で,四本目の足である改善班を設置できます。筆者が組立課長時代,総工数の3%程を課の改善班として確保し,優秀な班長クラスの人材を集め『課長特命業務』として現場の改善指導,品質問題の解決等に活躍してもらいました。課としての成果はもちろん,活動した人達は大きく成長し,3名は課長職まで昇格しました。
四本目の足としてスタッフ部門を設けるということは,トヨタ生産方式の基本概念です。これを現場に展開したときは 『寄せる・停める』活動と言います。
例えば5人で平均85%の作業量だと分かれば,4人に3%のストレッチ目標を課した103%の仕事を割り付け,残りの一人が20%に満たない仕事をこなしながら,4人のReliefをすると言う形を取ります。
そして5人が不平等にならないように,定期的なローテーションの掛けるのですが,103%と20%に満たない仕事の交換は比較的容易ですから,こうする事で5人全てが全部の作業をおぼえるだけでなく,常に速さへの挑戦が出来,強固な作業集団が出来るのです。
『常在戦場』という国会議員が好んで使っている言葉がありますが,民間企業でも,怠惰に落ちやすい日常をムリヤリ四本目の足を作る事で,わざと戦場のような状態にし,従業員を鍛え育てることが,管理者の重要な仕事なのです。
先回ダーヴィンの 『唯一生き残れるのは,変化できるものである』と言う言葉を紹介しましたが,その文脈で,変化するための一つの基本方策として『四本目の足』のお話しをしました。
皆様の改革の参考になれば幸いです。
2015年9月
最近,下記のような名言に巡り会い,膝を打って合点しました。
最も強い者が生き残るのではなく、
最も賢い者が生き延びるでもない。
唯一生き残るのは、変化できる者である。
チャールズ・ダーウィン
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それは,以下のような経験があるからです。
弊社設立の目的は,広く社会に 『本流トヨタ方式』と 『Jコスト論』を広め,皆様の会社が従業員とともに 変化に対応し強くたくましく成長するお手伝いをすることにあるので, Client 様の実情に応じた報酬を頂き,中小零細企業から大企業まで改革のお手伝いをさせて頂いております。
発足当時,複数の超一流企業の熱心な社内改革のお手伝いをさせて頂き,好処遇を受け,弊社の実力が評価されたと実感し誇りを持って仕事を進めていました。こういう真摯に改革を進める会社を【タイプA】としましょう。
同じ時期,同程度の超一流企業から幹部教育の依頼がありました。自社の経営基盤は盤石で何ら改革の必要性はないと考えてか教育担当役員の関心事は, 費用削減のみで,教育内容より先に非常勤講師並みの価格でやれと言う高飛車の態度でした。こういう会社を【タイプB】としましょう。
以来様々な会社とお付き合いし,【タイプA】と【タイプB】を分けるものは何かと疑問に思いながら,数多くの会社の皆様とお話ししている内に,両者を分けるのは,経営Topを取り巻く中間管理者層の意識の違いにあると知りました。
弊社は,大野耐一氏の
『今のやり方は一番拙いと思え,もっとましなやり方があると信じて改革に取り組め』と言う教えを継承していますが,【タイプA】はこれと同じ文脈で,常に他社と比較して自社の実態を客観的に捉えている人が多いのに対し,特に
自己資金比率の高い会社は,客観的で厳しい目を持つ外部金融機関の干渉が少ないため,自社の経営基盤が盤石であると盲信しやすく,他社との比較よりは自社内の人間関係に意を払う中間管理者が多くなって【タイプB】の会社になりやすいと気がつきました。
一番顕著な症状は
『在庫が増えても原価を下げようとする』性癖で,弊社はこれを
『高自己資本症候群』と名付けて注目しております。
皆様も ,『最も強い者』を『自己資本比率が高い会社』と読み, 『最も賢い者』を『ヒット商品を持っている会社』と読み替えてみましょう。自社を盤石と思った瞬間から, 冒険を避け現体制を維持し,出費さえ抑えれば会社は安泰という考えになってしまいがちで,この空気が改革マインドを衰退させ,いわゆるガラパコス化を進めてしまい,気がついた時には手の打ちようがない事態になって居ると考えるべきでしょう。
ダーヴィンの進化論は,正に企業の進化論でもあることを知りました。
因みに中国では,経済成長とともに 心ある経営者は,欧米系を真似した, 『労働者を道具扱いにする経営』に疑問を感じ,熱心に 『盛和塾』や 『トヨタ生産方式』いわゆる日本的経営を学ぼうとしています。
今回の中国出張では,講演会の後,参加の中小企業の経営者に呼ばれた夕食では,夜の10時まで教えを請われ,翌朝もホテルから空港までの道中はもちろん,搭乗時間ギリギリまで懇談を続けました。そこまでして彼等が知りたがっているのは,
(1)社長としての
『帝王学』,
(2)上司としての
『部下の育て方』等々で,
決してお金の儲け方ではありませんでした。
日本では講演の後の質問は 『工数低減法』や 『原価低減法』に集中するのと対照的で,ダーウィンの 『最も強い者』と 『最も賢い者』が現在の日本企業であり 『変化できる者』が中国のこれらの会社を指すのでは・・・,と危惧の念に駆られています。
ダーウィンの名言を胸に自社の実態をじっくり観察することをお勧め致します。
2015年1月
お正月に因んでミカンとリンゴの箱買いのお話しを致します。
昔の物流容器は,わらで作った叺(かます)と俵(たわら),木製のミカン箱,リンゴ箱, 防湿加工した茶箱がその主流で,箱単独で市販され,広く使われたものでした。
ミカン箱に入ったミカンはぎゅうぎゅうに詰められ,大きなミカンは四角形に変形していました。リンゴ箱を開けると中は籾殻が一杯詰まっていて,探ると籾殻(もみがら)の中にリンゴがそっと入っていました。今はどちらも段ボールに変わっていますがその歴史を引きずっているようです。
ミカンを『箱買い』するとき,大きさの等級と目方で指定して注文します。
同じ『箱買い』でも,リンゴは触ると傷物になるので,大きさと何個入りかで注文し,箱の中は絶対に干渉しないように,昔の籾殻に代わってスペーサーが入っています。(写真参考)


ミカン箱は,運賃や荷扱いを考え小さめに出来ていて,5kg詰めであれば5,000g−Zero+のミカン1個分の精度で詰め込んでいるようです。生産管理で言えば,1日の稼働時間460分に対して与える生産計画を460分−0分+30分の精度で指示出来るようになって居ると例えることが出来ます。
リンゴの箱詰めは,選別された大きさのリンゴを,写真で言えば13個詰めるだけです。 何g詰めたか,空間はどれだけ余っているかは一切考えません。生産管理で見れば, 過去に1日で13個造った実績があるので,今日も13個生産するように現場に指示するだけで,この大きさなら15個はいけるとは一切考えない事を意味し,ミカンのように 1日の稼働時間460分に対して正味何分の作業を指示したかの把握の無い状態であるとしてお話しを進めます。
こうして見たとき,『ミカンタイプ』の生産管理では1日の稼働時間460分に対し正味何分の作業を与えたか 『時間という計量値』で管理していますから,『改善』で作業時間を短縮すればその分だけその分だけ余分に造ることが出来,成果を摘み取ることが出来ます。
一方『リンゴタイプ』の生産管理では,例えば1日に 13個という計数値(数える数値)で指示していますから,改善で作業時間が短縮しても(リンゴが小さくなっても)13個という指示のまま造るだけで,成果を摘み取ることは出来ないのです。
ここで御提案ですが,2015年のはじめの仕事として,御社の生産管理は,『ミカンタイプ (時間という計量値で指示し,結果を管理している)』なのか,『リンゴタイプ (1日に何個という計数値指示し,管理している)』なのか,お確かめください。もし不幸にして『リンゴタイプ』であれば,何はさておき,『ミカンタイプ』に変更することをお薦めします。
確認のついでに,御社の下記のような全工程に亘っての流れもご確認ください。
@材料受入⇒A材料出庫し⇒B加工⇒C組立⇒D出庫準備⇒E納品
例え『ミカンタイプの管理』であっても,
全体最適≡@〜Eの最適値の和・・・・・・(1)
と信じて@〜Eの各部門の原価の競争をさせると,1日の生産量の競い合いを始め, 生産量の差が在庫となって@〜Eの部門間に積み上がってしまいます。その結果在庫金額が増え,全体のLead-Timeが長くなって会社を危うくします。つまり,単純に競争させる場合には
全体最適≠@〜Eの最適値の和・・・・・・(2)
なのです。
関係式(1)が間違いで,関係式(2) が正しいと部下を説得する自信の無い方には, 昨年末に出版された
を読むことをお薦めします。簡潔明瞭に事例を挙げて説明してあります。
註;原作者Goldratt博士はトヨタ生産方式の大野耐一氏を師と仰ぎ,自らを その後継者と称し,物理学者として『トヨタ生産方式』を研究し,現場育ちの我々とは 違った角度で『トヨタ生産方式』の本質を語っています。
在庫を増やさずに各部門を競争させるには,1日の生産量を指定して それを作るのに要する時間を@〜Eの部門間で競わせる必要があります。
@材料受入⇒A材料出庫し⇒B加工⇒C組立⇒D出庫準備⇒E納品
そうすると,どの部門が製造のネックになっているのかが日々見えてきます。同じ手法で,その部門のどの工程がネックになって居るかが分かります。
このネック工程の能力が会社全体の生産能力を決めてしまいますし,生産のLead-Timeに大きな影響を与えています。
巷間では『5S活動』や『ムダ取り』が流行っていますが,それは現場で働く人たちが自己実現のためには必須の改善活動です。
一方,会社組織をあげて成すべき現場改革は,全工程を見渡した上で
【A】 生産量のネック解消の視点から評価すれば
会社全体の余剰能力が向上し,増販出来れば固定費負担無しで増産でき 利益拡大が出来ます。
【B】 Lead-Timeのネック解消で評価すれば
受注⇔納品のLead-Time短縮は市場競争力を上げ値引き競争から逃れたり,
仕入⇔納品のLead-Time短縮は棚卸資産減少させ,その分のキャッシュが増え 新規事業に投資できます。
この『全体最適』の視点から自社のネックを顕在化し,解消させる改革が 閉塞感漂う今の日本で会社を成長させる道なのです。
お正月のミカンに関連づけて今成すべき改革のお話しをさせていただきましたが,この改革には弊社の提案する 『本流トヨタ方式』とそれを評価する 『Jコスト論』 が大変の役に立ちます。
弊社のホームページでも御説明していますが,上記キーワードをネットで検索いただくと より客観的にその中身を知ることが出来ます。
2015年,御社が 『全体最適』に向けた改革を断行し,アベノミクスの波に乗り 大いなるご発展を祈ってやみません。
2014年1月
昨今,日本経済の復調の兆しと,トヨタ本体の劇的回復によりTPS(トヨタ生産方式)の底力を見直す動きが見られます。
しかし残念なことに巷間のTPSは『玉石混淆』で,中には全く正反対の指導をする先生も居ます。更にTPS以外にも様々な改善手法があります。
そこでこれを機に
『改善の目的は何か』を,実施される皆さまご自身で改めてよく考えてみること。
更に
『その目的を果たすのに,この手段は妥当か』についてもご自身でを良く吟味する必要が在ります。
例えば,TPSの基本 『4S(整理・整頓・清掃・清潔)』にもうひとつ 『S』を加えた 『5S活動』が最近流行って居ます。
『5S』にも以下の二通りのgroupがあります。
- 『4S』+『躾』と捉え,現場を厳しく鍛え上げる活動を展開するgroup
- 『4S』+『System』と捉え, 『4S』の乱れで 『System』の拙さを顕在化させ,ムリ・ムラを駆逐し,市場の変動に即応できるSystemを構築していくgroup
『5S』ひとつ取り上げても,このように取り組み方に違いがあるのです。
さて,日本経済の好転の兆しか, 仕事が増えたという声を彼方此方で聞きます。 御社には, 新しい商談が持ち込まれたとき,月産何個まで対応出来るか 即答できる仕組みがありますか?そしてその 商談を即実施できる体制が在りますか?
冬期を耐え,夏期には枝を伸ばし果実を実らせ成長する果樹の如く,不況に耐えながら,新しい商談と言うチャンスを逃さず 『取り込める体制づくり』が 『改革の目的』のひとつと弊社は考えて居ります。
『Cost Down』は多くの会社が取り組んで居ますが,現在の生産量を前提として,余分と思われる
『設備・要員』を削減していく改善を行います。
余力を削っていきますから,新しい商談と言うチャンスへの
対応は困難で,縮小し続けることになります。
『生産性向上活動』は,現状の 『設備・要員』で更なる受注に備えて 余力を産み出す活動で,新しい商談に対応出来ますが,生産量に応じて在庫が増える傾向があり,ともすると 運転資金の手当てが必要になります。
これに対して弊社の進める 『リードタイム短縮活動』はトヨタの先達の教えである 『品質を確保してリードタイム短縮に挑戦すれば儲けは後から付いてくる・・・』の正しさを説明した会計論 『Jコスト論』に基づいており,改善の対象を,従来の『設備・要員』ではなく, 『製品の流れ速さ』に置きます。
具体的には,材料が会社に納入されてから完成品になって納入されるまでの全工程を 『正味加工時間』と 『停滞時間』に分け, 停滞時間を短縮する活動を展開します。
製品1単位に着目すれば 『正味加工時間』は長いとされるNC加工機でも 数時間です。プレスに至っては 数秒間に過ぎません。弊社の実績では,Client様に『Value Stream Map』を描いて頂き,情報の流れの不備を気付いて頂き,連絡を密にするだけで,何の投資も無く 『棚卸資産の半減』を成し遂げてきました。棚卸資産の減った分は,会社の会計として 『莫大な現金』として手元に残ります。現場では広大なスペースが空きます。先行生産が出来なくなるので,設備の非稼働時間が明確になり,手入れが行き届き,故障や不良が減り,自ずと生産性が向上します。
何よりの強みは,棚卸資産(=生産のリードタイム)が減ることで,注文頂いてからの 納期の約束でき,しかも競合他社より遙かに 短納期になります。それが新しい 商談を呼び込むことになり,しかも,新商談の受入れの可否を即断できるようもなるのです。
1978年,大野耐一氏は著書『トヨタ生産方式』のサブタイトルを
『脱・規模の経営を目指して』と付けました。これと,先達の『品質を確保して・・・・・・・』を合わせて,弊社は
『量産によるCost Downに頼らず,高品質・短納期に邁進し,Netで世界に宣伝すれば,成長と繁栄の道は開ける』と言うConceptとして捉えております。
これに加えて
『本流トヨタ方式』・『Jコスト論』のと言う『ものの見方・考え方』を御案内し,皆さまの
『更なる飛躍に向けての改革』のお手伝いを致しております。
本年もよろしくお引き回しのほどをお願い致します。
最後に,皆様方が今まで成し遂げてきた改革の 『目的は何か』と 『その手段は妥当か』 の再吟味を,新年を迎えたこの日に行うことを強くお勧め致します。
追伸 拙さが見つかったとき,方針変更はいつが良いか
『それは,今でしょ!』
2013年1月
知名度が上がってきました。
『Jコスト論』はお陰様で,会計学の先生方からのご支援を受けるようになり, 一橋大学大学院をはじめ,海外でもMBAの教科にも取り入れられるまでになりました。
名刺交換すると「今,社内で有志が集まって『Jコスト論』の勉強会をやっています。」と声を掛けて頂いたり,各地からメールで質問を受けたりするようになってきました。
「Google で検索したら『トヨタ生産方式』より遙かに『Jコスト論』の方がヒット数が多かった。」とわざわざ教えてくれる人もいました。これは『Jコスト論』が,現状に問題意識を持ち,やる気を持った社員の間に深く静かに浸透している証拠と捉えております。
弊社が提案する改革とは
実例で説明しますと, クライアント様の改善チームに 『本流トヨタ方式』とそれを会計的に説明する 『Jコスト論』を教材にして, 『ものの見方,考え方』を教育し,教育を受けた改善チームが自社の営業・調達・生産計画・製造・物流を横串を刺して, 業務の進め方を自分達の目で 確認し,自分達の頭で 考え,自分達の手で 改善するのを 弊社が見守り,指導致しました。
結果として,設備投資無しで,棚卸資産半減(約40億円の現金を浮かし),余剰な生産能力(設備能力・スペース・要員)を顕在化させ,改善チームが一人前に育ちました。 この余剰な生産能力を増産に向ければ,増産分は変動費だけで済みますから多大な
営業利益を生むことになります。注文が来るまでの間,設備の点検・改良,従業員の
多技能化を計り,更なる業務拡大を投資無しで実現させました。
このように,更なる飛躍のための経営資源を捻出することと,改革をし続ける力を持った人材を育てる事を弊社はお手伝い致します。
主要国のリーダーが替わり,閉塞感からの脱却に向けて世界が動こうとしている今年, 御社が取り組むべき改革は,まさにここにあると考えております。
今年から中国へも出かけます。
昨年暮れから,中国,インドからの引き合いがあり,今年は海外でも活躍の場が広がる予定です。特に中国では,万博も終わって丁度日本の,1970年なかばのような雰囲気で,現地企業は中国国内市場の競争激化を受けて海外に進出しようと考え,そのためには現在の自社の『品質』と『リードタイム』に問題があるから直したい,とのことでした。
トヨタ自動車は米国進出を前にしてで1982年頃に豊田英二会長,豊田章一郎社長の強い意志の元で大野耐一氏の後継者,楠兼敬氏が指揮官となって『工販合併』『品質保証活動』『商品物流改革』という大改革を同時並行で実施しました。
中国企業からの注文は,当時のトヨタと全く重なるもので,これこそ『本流トヨタ方式』の目指す改革そのものでした。
『本流トヨタ方式』を説明する拙著『考えるトヨタの現場』『トヨタ流現場の人づくり』の2冊が昨年中国語になり出版されました。ここで語られている哲学は,そのルートは中国の古典『四書五経』にあり,中国人のDNAにマッチしているものなのです。弊社はこれをツールにして中国本土での改革活動のお手伝いをしようと考えております。
皆さんの会社で,中国人従業員の教育に拙著(詳細は 著書ページご覧下さい。)で勉強させるのであれば本書をお勧めします。
中国人幹部に対して弊社が講演する場合,拙著を訳してくれた趙城立氏(経営学博士)が通訳をするオプションを準備しています。ここでは中国人に分かり難い部分は,中国人の立場から丁寧に解説しながら通訳してくれます。これもお勧めです。